「第三者通報機関窓口(ホットライン)」って?
1. ハラスメントや不正行為への社会的関心の高まり
近年、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、職場いじめ、内部不正(横領・談合・粉飾など)といった問題が社会問題として注目を集めています。
これらに対して企業や組織に対し「迅速かつ公正な対応」が求められる中で、社内通報だけでは十分でないという認識が広がっています。
2. 内部通報制度の信頼性への懸念
多くの企業が内部通報制度を設けているものの、
実際には以下のような理由から利用されにくい状況があります。
- 通報が原因で報復を受ける不安
- 公平な調査がなされるかどうか不信感がある
- 管理職が関与しているケースでは通報しづらい
こうした理由から、利害関係のない「第三者」に直接通報できる窓口の必要性が高まっています。
3. 公益通報者保護法の改正(2022年6月施行)
法改正により、以下の点で第三者通報窓口の設置が現実的かつ必要になっています。
- 従業員301人以上の事業者に通報対応体制の整備義務
- 通報者の秘密保持や不利益取扱いの禁止強化
- 外部機関(弁護士・NPOなど)への通報先拡大
これにより、自社内に限らない外部窓口の整備が法的にも実務的にも求められるようになりました。
4. 企業のコンプライアンス・ESG対応の一環
上場企業やグローバル企業を中心に、コンプライアンス体制の強化や、ESG(環境・社会・ガバナンス)対応の一環として、信頼性の高い通報窓口の整備が進められています。
特に「G(ガバナンス)」の観点から、外部第三者による監視・是正機能が求められるため、第三者通報機関が注目されるようになっています。
5. 社員エンゲージメントと心理的安全性の確保
社員が安心して働ける職場環境づくりの中で、不安や問題を「安心して」伝えられる仕組みは不可欠です。心理的安全性が高まれば、離職率低下・生産性向上にもつながるため、企業にとっても第三者窓口の導入は重要な施策となっています。
「まだ。ムリじゃない。」
退職する。関わらない。これっきり。それもひとつの尊重すべき考え方であります。
しかし、身に付けたスキルとノウハウ、人間関係を全てゼロにする事は、企業にとっても個人にとっても足踏みや遠回りになる事もあります。双方の考えにフラットに耳を傾け前向きな道を探す第三者通報機関窓口は、双方にプラスの結果をもたらすケースも高いのです。
第三者通報機関窓口は、従来の社内通報制度の限界を補い、コンプライアンスの強化、社員の安心感、企業の信頼性向上に寄与する存在として、現代の日本社会でニーズが急速に高まっています。